/ playlist / gogai / 2023/02/21
SAI TRACKS
思い起こせば、2年前の2021年2月。スピーカーSAIの発売が始まりました。コロナ禍で閉塞感を感じる中、SAIから流れる音楽によって少しでも気持ちが軽くなればと願って開発しました。SAIのテーマは、「さあ、あそぼう」。自由な遊び心、そんな感覚で使える気軽なスピーカーのイメージです。今回は、SAIをテーマに選曲で遊んでみたいと思います。
「遊び」を始めるときに必要なのは、自分たちで勝手にルールを決めること。何かしら「縛り」がないと楽しみが生まれないのは、面白い事実だと思います。全く自由な状態だと、人は楽しめないどころか意外と何をしたらいいのかよく分からなくなってしまうもの。クリエイティブな行いにも、時にはある種の縛りが必要なのも納得します。人生もそんなものだと思いつつ、アフターコロナの縛り多き世の中を遊び心を持って付き合ってみるのもいいかもしれません。
さて、今回のルールは、SAIのネーミングの元になった「賽(さい)」。すなわち「サイコロ」や「立方体」にちなんだ楽曲。英語だとDICEやCUBE。そして、賽の目が記されているドミノも加えました。それらの単語をキーワードにしつつ、「SAI TRACKS」というテーマで選曲をしました。楽曲コメント付きです。
/ra/
1. The Dice Man - Polygon Window
リスニングテクノを代表するコンピ『Artificial Intelligence』のオープニングを飾る、リチャード・D・ジェイムスによる一度限りの名義 「The Dice Man」 によるトラック。90年代初頭にこのアルバムコンセプトは早かった。まだまだアナログ時代の人肌テクノ。
2. Syd Barrett - Dominoes
「シド・バレットって世に言われるほど変人でも神経質でもなかったんじゃないの?」というのが個人的見解。程良く脱力した世界観が楽しめる傑作アルバム『Barett』からのトラック。ゲームに興じるヒマ人の倦怠感がタバコの煙のように漂っている。
3. Black Dice - Cloud Pleaser
ブルックリンのオルタナティブバンド「Black Dice」の2004年作『Creature Comfort』からの冒頭トラック。実験的な音作りながら、エキゾチックな感触とポップな抜け感があって、夏にぼんやりと聴きたくなるアルバム。
4. Roland Kirk - Domino
賽の目がいっぱい写ったジャケットが印象的な『Domino』。今回の選曲テーマで真っ先に頭に浮かんだレコード。イントロの涼しげなフルートが次第にスキャットが混じった奇妙な音に変化。ジャズを聴いていると思わない方が楽しめる不思議な音楽。
5. A Tribe Called Quest - Lyrics To Go (Tumblin Dice Remix)
トライブ3作目のアルバム『Midnight Marauders』収録曲のTumblin Diceによるリミックス。オリジナルの方で印象的にサンプリングされていたMinnie Riperton「Inside My Love」のフレーズは影をひそめた感じだが、このリミックスもカッコいい。
6. Fats Domino - I'm Gonna Be A Wheel Someday
ドミノといえば、やっぱりFats Domino。選曲テーマにハマったタイトルのアルバム『Let's Play Fats Domino』から。クレジットはないが、この曲はアラン・トゥーサンのコンピにも収録されているので、どうやら彼のプロデュース作品のようだ。
7. Rolling Stones – Tumbling Dice
1972年の名盤『メインストリートのならず者』収録曲。この時期のストーンズはとにかく大物感が高い。こういう音は少々ワルいことやってないと出せないのかも。
8. Beirut – No Dice
この曲の名義は「REAL PEOPLE」で、ベイルートのメインマンZach Condonのソロプロジェクト。4つ打ちのテクノトラックなのには驚きだが、さすが個性的な音楽を聴かせてくれる。
9. Badfinger – It Had To Be
Appleレコーズからの1stアルバム『No Dice』から。No Diceは「つまらない」とか「駄目」の意味。正統派ビートルズフォロワーだと思っていたが、セクシー見開きジャケでこのバンド名かつこのタイトル、結構尖ったことをやろうとしていたのかも。
10. Paul McCartney And Wings – Let Me Roll It
ポールの音作りはいつもどこかハッとさせられる。シンプルでタイトな音像が気持ちいい。歌詞ではホイールを「Let Me Roll It」と歌っているが、サイコロに置き換えて転がしてみてください。
11. Move D - Cube
90年代より自身のレーベル「Source Records」や「Warp Records」他多数のレーベルからリリースを続けるドイツのベテラン。こういうシンプルなテクノはレコードで聴きたくなる。
12. Ultramarine - Signals Into Space
ゲストボーカルにAnna Dominoが参加しているのが選曲した理由。クレプスキュールからのリリースのせいか、いつもよりヨーロピアンな空気がアルバム全体に漂っている。
13. George Harrison - Isn't It Pity (Demo Version)
ベスト盤『Let It Roll』収録の有名曲デモヴァージョン。アルバムヴァージョンより個人的には好み。メロディの良さにフォーカスするにはこれくらい素朴なほうがグッとくる。
14. Ben Watt - Cant
ファースト7インチシングルのジャケットに2つのサイコロが。ここからベンの活動が始まったと思うと感慨深い。『North Marine Drive』のイメージはすでに頭にあったのかもしれない。
15. Domino Quartet - Stole Away
とてもほのぼのとして優雅なフリージャズ。こんな感覚のジャズは結構稀有だと思う。作曲者Sean Berginのアルバム『Kids Mysteries』は同傾向で素晴らしいのでぜひ。
16. Paul McCartney - Winter Bird / When Winter Comes
SAIの発売準備をしていた2020年12月、ポールの新作ニュースを見て驚いた。ジャケットにサイコロが!コロナ禍の世界にこんな素敵な音楽をさらりと届けてくれるポールに只々感謝。
*今回から、プレイリストはSpotifyのみとなりました。
Apple Music、Amazon Music等でプレイリストを聴きたい場合は、Spotifyフリーの無料会員登録後、Tune My Music サイトを利用するとプレイリストの変換が可能。
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